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遺言の能力について
民法では、満15歳以上で、遺言をするときにおいて能力を有していれば遺言をすることができるとしています。遺言をする能力とは、一般に意思能力を指すものと考えられ、泥酔者などには意思能力はなく、認知証の者も症状の程度が進行しており事理を弁識する能力がない場合は、意思能力なしとして遺言は無効となります。
一方で民法は、一般の法律行為については、判断能力を有しない者を保護する見地から、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の規定を設けて、それぞれ行為に制限を受ける旨を定めています。しかし、遺言に関しては、15歳以上であれば、上記の制限行為能力者についてその規定を適用しないとしています。これは、遺言は、本人の最終的な意思表示であり、できるだけ尊重すべきであるということ、遺言の内容には認知等の身分行為も含まれること、一般の法律行為ほどの保護を与えなくとも、遺言の効果が発生するのは遺言者の死亡時からであるため遺言者の保護に欠けることはないことが挙げられます。
ただし、成年被後見人については、民法973条に定める手続きによらなければならないことになっています。

成年被保険人の遺言
成年被保険人が、遺言を作成する場合、各遺言個別の要件を満たすほかに、以下の要件を満たす必要があります。
  • 成年被保険人が事理を弁識する能力を一時回復した時に遺言を作成すること。
  • 医師2人以上が立ち会うこと
  • 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、署名・押印すること。秘密証書遺言においては封紙にその旨を記載し、署名・押印すること。

認知症の老人が、遺言を作成する場合、遺言者が成年被後見人となっている場合は民法973条の手続を経る必要が生じます。成年被後見人となっていない場合は、民法973条の手続の手続を経る必要はありませんが、後日遺言の無効が争われるリスクを軽減するには、民法973条の手続に従って作成する方が良いと思います。
仮に医師2名以上の立ち合いのもとに公正証書遺言を作成しても、遺言時点で遺言者が遺言能力を有していないと判断されれば遺言が無効となる場合もあります。
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